【台湾映画】海角七号:君思う国境の南

私の大好きな中国語の映画をご紹介します。
私は中国語のリスニング力を鍛えるためと思い、映画もいろいろ見ています。
字幕付きの作品も多く、勉強にはいいと思います。
私が大好きで、心に残っている映画はたくさんあるのですが、まず最初は、台湾映画の「海角7号」をご紹介します。

映画のタイトルだけを聞くと船の名前か何かと思ってしまいますが実は住所です。
「海角」は日本語に訳せば「岬」です。ですから日本語に訳せば「岬7番地」になります。
原題の英語訳は「Cape7」となっていて、これも日本語にすると「岬7番地」です。
日本での公開では、あえて中国語のタイトルを原題のまま残し、別途、原題にはなかった副題を付けています。
なお、本作は台湾映画でタイトルの「七号」は、映画のオープニングタイトルでは繁体字の「七號」なのですが、本文中では「七号」で統一させて頂きます。

住所がタイトルになっているのは、この住所がこの映画の大事な柱となる手紙の宛先だからです。

「友子、君はまだあそこに立っているのかい?」

映画が始まって、最初のセリフに驚きます。
台湾映画のはずがいきなり聞こえてきた日本語です。
最初のタイトル画面と心に残る静かな音楽が聞こえる中で、このセリフがとても印象的です。
すぐに心をつかまれました。
この映画の中で、順に読まれる手紙はすべて日本語なので、日本人には親しみがあると思います。

次のシーンで、台北101が見えます。それで現代だということがわかります。
主人公が出てきてバイクに乗ろうとするのですが、背中のギターが邪魔になり乗れなません。
腹をたてて、ギターを叩き潰しバイクで走り出すのです。
この時のセリフはかなり激しいです。

ここから、音楽が始まり主人公がバイクで故郷に帰る映像の中、オープニングクレジットが流れて映画の物語が始まります。

この映画は、終戦前後の、結ばれなかった日本人教師と台湾人生徒の愛と、時を隔てて、現代の日本人女性と台湾男性歌手の恋愛の、2つの物語です。
2人の女性の名前は「友子」です。
現代の物語が進行する中で、過去の手紙が順に読まれていきます。

敗戦後に日本に帰国した青年教師が、台湾に心ならずも残した恋人である生徒「友子」に宛てた手紙が一つの軸になって進みます。
青年教師は、台湾を離れ帰国する船内で、恋人に手紙を書きました。
台湾での楽しかった思い出、恋人への深い愛情を、切々としたためた内容です。
これが、映画の中の場面場面で順に読まれていき、この映画のもう一つのストーリーになります。
これは、すべて日本語ですので、日本人の観客は映画に入っていきやすい映画だと思います。

一方、現代のストーリーがメインで進行していきます。主人公阿嘉と日本人女性「友子」の物語です。
こちらの友子は田中千絵さんが演じています。

この映画では日本語も出てくるが、それと同時に台湾語も出てきます。
すべて中国語にせず、それぞれの言葉を使っているのは、監督が普段の生活の中で使われるように、自然な会話を大切にしているのだろうと思います。残念ながら、台湾語までは私にはわかりませんでした。

話のメインストーリーは、恒春のリゾートホテルで開かれるビーチコンサートに向けて進んでいきます。出演するのは日本人歌手(中孝介)。
しかし、前座に地元のバンドを出せという地元の代表で主人公、阿嘉の義父の意見で、町中から即席のバンドのメンバーが集められます。
このメンバーが、それぞれ個性的でこの映画を面白くしています。

あとのストーリーはネタバレになるのでここまでにします。
最後のコンサートの場面は感動的です。
映画の展開で順に読まれていった、今は存在しない住所「海角7号」あての7通の手紙は、果たして届けられるのでしょうか?

音楽

この映画は音楽がとても印象的です。いくつかの音楽が印象的に使われています。

情書(ラブレター)

映画の冒頭、日本に向かう帰国船を背景に「海角七号」のタイトルが出てきます。
このバックに流れるのが「情書」という曲です。
歌っているのは、主演の范逸臣です。
とても印象的なメロディーで私は大好きです。

聞いてみたい方は、YouTubeで検索すればいくつか出てきます。
例えばこちら

野ばら

有名なシューベルトの「野ばら」です。
戦前の台湾での日本語教育の中で教えられ、広く歌われたとのことです。
映画の中では、日本語で歌われています。

最初は、郵便配達をしながら、茂爺が歌っています。
茂爺は、昔の漫画「がんばれタブチくん」に出てきたヤクルトの応援団長に似ている(と私は思います)。

この野ばらの歌が、映画のクライマックスで歌われます。
日本から来た歌手が「あ、この歌僕も知ってる」と一緒に歌って大合唱となります。

とにかく、よく知っているこの歌ですが、この映画の中では効果的に使われ、本当に心に沁みて感動的です。

国境の南(君思う、国境の南)

最後のコンサートの中で歌われます。
タイトルの通り、台湾に残した恋人を思う歌です。
YouTubeでも聞くことができます⇒リンクはこちら

登場人物

この映画のもう一つの柱は個性的な登場人物です。
コンサートに向けて結成されたバンドのメンバーが個性的でこの映画の魅力になっています。

茂爺(茂じいさん)

この映画で、一番印象的なのはこの人です。
台湾で有名な俳優、林宗仁さんが演じています。映画の中では郵便配達の仕事をしています。
若い時に日本語を学んだ戦前世代で、バイクに乗りながら日本語で「野ばら」歌っているのが印象的でう。事故で足を骨折したことで、配達を主人公の阿嘉がすることになります。この阿嘉が最後に配達するのが、冒頭のセリフになっている手紙です。
映画の中でも、また実際にもご本人は「月琴」の名手とのこと。ただ、本映画のバンドでは、タンバリンを担当することになります。
残念ながら、この映画の後しばらくして64歳でお亡くなりになりました。

馬拉桑(マラサン)

先住民(アミ族)出身の酒のセールスマンです。自作の酒「マラサン」を売るために、常に頭が低く、必死に駆け回っています。実は優れたキーボード奏者で、チャンスを掴むためにバンドに加入します。

中孝介(歌手と日本人教師の2役)

恒春でのコンサートに招待された日本人歌手の役です。
そしてもう一つ。この映画のもう一つの柱である、手紙を書いた日本人教師の役もしています。
船の乗客の人波に隠れるようにして、恋人「友子」を覗き見ている姿が印象的です。

この映画が縁になったのかどうか知りませんが、雑誌「聴く中国語」のゲストでインタビューされ、中国語でお話されていました。決して上手とはいえない中国語でしたが、誠実に話しているのが印象的でした。

まとめ

調べてみると、この映画は公開時、台湾で過去2番目の興行収入を記録したとのことでした。
その理由は映画を見ればわかると思います。

魏徳聖監督は、この後「賽德克·巴萊(セディック・バレ)」や「KANO」など日本にも関係のある作品を残しています。特に、「セディック・バレ」は、違った意味で衝撃的な作品でした。
また、別の機会にご紹介したいと思います。

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